小3:低学年学習における子供へのインセンティブの考察
2018年4月29日(日)。
都内カフェにて、時間つぶし、まったり。人間観察をしていると実に面白い。お互い読書に熱中して会話が無いカップル。妙齢の3対3の合コン、独身大学助教授を落とそうとしている3人組。サンデーに喰らいつく女子二人組。
ゆったりした午後に、カフェに渦巻くいろいろな欲望を観察していると、何が人間のドライバーになり、インセンティブなのだろうと思う。
娘の小1~小2のマネジメント経験、そして小3以後の展望を考えるにあたり、子供を勉強に向かわせる為に「やった方が良いこと」よりも、「やってはならないこと」(Dont’s)の方が多い気がすると思います。なぜならば、親が何も言わなくても、何も御褒美を与えなくても、やる子供は一人で勝手に勉強するからです。
やってはいけないのは以下だと思います。
(1)勉強することに対して、有形無形のインセンティブを与える
例はたくさんあると思います。「[xx]時間勉強したら、[xx]分ゲームをして良い」、「[xx]ページ問題を解いたら、[xx]円あげる」、「[xx]をしたら、[xx]ポイントを与え、累積[xx]ポイントになったら、[xx]ができる」、など。
恐らく、そういう状態になっている背景には、「言わないとやらない」、「机に向かっても集中しない」などの、親としていたたまれない状況があり、少しでも頑張らせるために設定しているものと思われます。誰だってそんなことはしたくないはずだから。
しかし、これらは劇薬ではないでしょうか。いや、そんなことは、誰でも知っている筈。一回やってしまったら、戻れない中毒性のある処方箋。
(2)勉強の結果に対して、有形無形のインセンティブを与える
これも良くある例だと思います。「今度の組分けでクラスが上がったら、[xx]を買ってあげる」、「テストで偏差値60越えたら、[xx]時間ゲームをしてよい」、などなど。
これは、上記(1)よりは、まだマシな中毒性のある薬。上記(1)は「やったこと」と「その結果」は全く関係が無いので、本当に意味が無いが、(2)は成果主義なので透明性もある。
しかし、これは結果を出し続けているうちは良いが、下落局面に入るとインセンティブにならないと思います。
・・・上記が、Dont’s。以下が、「やった方が良いこと」だと考えます。
(a)どんな小さな成功でもハイタッチする
自宅学習で難問を解けたり、テスト結果が良かったり、さまざまな小さな成功を親と子が共有したその瞬間に、
娘:「いえーい!」
僕:「いえーい!」
とハイタッチ。娘が小1の頃はもっとバリエーションがあり、「ペンギンダンス(=僕の足の上に娘が乗りダンスをする)」や「くるりんぱ(=両手をつないで娘がバク転する)」などがありましたが、ゴリラ娘の重量が僕の腰を破壊するので、ハイタッチに落ち着いてしまった。
こんな簡単なことなのですが、子供は親を喜ばせたいという思いがあるのが普通だし、親としても嬉しい気持ちを表現できた方が楽しいので、結構効くと思います。
(b)勉強の結果に対して家族でお祝いをする
我が家は、娘が事前に立てたテストでの目標を達成した場合、家族でお祝いをします。例えば、「[xx]のホールケーキを皆で食べる」、「[xx]のイチゴを皆で食べる」、「[xx]に皆で泊まりがけで遊びに行く」。
娘個人へのインセンティブではなく、家族全員でのお祝い。似ているようで、似ていません。結局のところ、喜びはシェアしたほうが価値が増すと思いますし、娘もそう考えているようです。
・・・しかし、インセンティブというダークサイドに落ちてしまった低学年受験戦士が、どうやってあるべき姿に戻るか。以下が解決方法のヒントになるかな、と思います。
(I)まずはインセンティブ制度を廃止する
廃止して勉強しなくなるのだったら、いずれにせよ、きつくなる小5以後に生き残れないと思うから。目指すレベルによるのかもしれませんが、最初から中堅や下位を狙っている家庭は、そもそも低学年から勉強を開始していないと思う。
(II)楽しいと思えるレベルにまで落とす
スラスラとできれば、誰だって楽しいです。え、もう終わっちゃったの、こんなの楽々!くらいのレベルならば、楽しいですよ。
これができるのが、公文。そして、家庭学習。我が家も公文で苦悶するようになれば、前に戻ったりしたり、直球算数がボロボロだった小2夏にはトップクラス徹底理解編の1年からやり直し、ドブさらいをしました。今、当時の反省を読み直すと、あの状態でサピックスの最上位クラスだったことに驚きます。サピックスのクラスも信用できませんね。
尚、これができないのが、塾のカリキュラムに乗ってしまっている場合。現状が辛くて、後ろに戻りたいけれども、毎週毎週の授業に追いついていくのが精いっぱいで、後ろに戻れない状態。これは厳しい。小1~小3の大手塾は、算数も国語も内容がスカスカなので、本来は授業中に暇するくらいがちょうどよいけれども、そうなっていないと、どんどん未消化内容が積もる。
こうなった場合の解決方法は、自宅学習を頑張ること、かなと思います。塾のテキストをやっても、解決しないように思います。小1レべルのテキストから順を追って潰していくことが、結局最短距離のように思います。算数はトップクラス徹底理解編、国語は漢字・語彙力・読書。
この反省録もそろそろ2周年を迎えますが、低学年ブースト組(=僕はいまだに娘をブーストしているつもりは無いのではあるが)が有利なのは、失敗したときに勇気をもって後退できる余裕があるから、だと最近考えています。先取り自体は、有利に働かない。ガンガン進めていくと、どこかで年齢相当の壁にぶち当たります。そこで、インセンティブといった麻薬に手を出すのではなく、楽々できるところまで戻る。そして、それでも、大手塾がやろうとしているカリキュラム、、、というよりは、大手塾が求める論理的思考能力の遥か先にいる状態。そりゃ、子供だって楽しいわけです。
・・・おっと、合コンは成功したようだ。カップル成立。
★現時点の立ち位置(塾以外):
①公文数学:上位0.6%/H教材(=中2)【2018年1月19日から】
②公文国語:上位1.4%/GII教材(=中1後半)【2018年4月19日から】
③漢字:漢字の要【2017年12月9日から(2017年10月漢検5級合格)】
④漢字:漢検ステップ4級(=中学前半)【2018年3月31日から】
⑤計算:マスター5年【2017年12月22日から】
⑥思考力算数:キッズBEE過去問【2018年2月25日から】
⑦思考力算数:明日への算数【2018年4月29日から】
(以下は2018年6月キッズBEE大会準備のために中断)
・直球算数:トップクラス算数徹底理解編小3【2017年12月10日から】
・思考算数:きらめき算数脳小3【2017年10月1日から】
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ディスカッション
コメント一覧
そう思いがちですよね。でも、結果より過程に対して報酬を与えた方が最終的な効果が出るのはこれまでの研究で分かっています。結果を求めると本質的なことが疎かになり点数を取るテクニックに傾倒しがちだと推察されているようです。実際、それで受験に失敗する人や受験は成功しても社会人として本質が理解できていない人が多数います。また、娘さんは比較的一人で勝手に勉強できるお子さんだとは思いますが、そうでもない子の方が大多数です。というよりも、状況に関係なく一人で勉強する子も実は自分の中で報酬系によって勉強していて大差はないのです。単純な知への欲求だったり、勉強が好きだったり、理由は様々ですが、それ自体がその子にとっての報酬なのです。その観点からいえば、勉強の結果に対しての個人へのインセンティブも家族全員でのお祝いも同値です。そもそも、例えば高機能自閉症傾向の子供は共感に乏しいため、家族全員でのお祝いなんて興味ないですが、大変学業優秀な子供が多くいます。自分の状況をやった方が良いこと、そうでないものをやってはいけないこと、とするのはそれ以外の人を不安にさせるミスリードですね。まあ、ある意味それは自己の不安の裏返しでしょう。人それぞれ、家庭ごとに正解があるはずです。
>omarさん
コメントありがとうございます。
家庭ごとに正解があると思いますので、僕の意見が唯一絶対解だとは思いません。「やり方」もそうですが、「何をやるか」(教材や塾のカリキュラム)についても同じ。
ただし、勉強する本人自らが自らに課すインセンティブ、と、他者が勉強する本人に課すインセンティブ、は全くちがうと考えます。多くの保護者の方は、前者を好むのではないでしょうか。何かを与えないと勉強をしない状況にしたい方なんていないと想像します。
一人で勝手に勉強しないお子さんが大多数なのかどうか僕は分かりませが、もうそうならば、むしろ違うやり方を模索すべきだと考えます。周りと同じことをやっても、偏差値という相対評価プールの中で浮上するのは厳しいと思いますので。小1~小3は、まだ本格的な学習は開始していません!だからこそ、あるべき方法でマネジメントしたほうが良いと思います。
批判的なコメントほど僕の勉強になりますので、今後ともよろしくお願いします。議論の中から見えてくることも多数ありますので。
>oinsenkiさん
批判というより一人の意見として聞いて頂ければ幸いです。
脳科学的にはどちらも同じことです。どちらでもよいということです。何かを知るとかできるとか理解するといったことは人間の根源的な喜びのひとつです。ただ、その子にとってそれが中学受験の勉強内容でないことは多々あります。例えば、読書(ゲームでもいいです)が好きな子が一日中本を読んでいたいところを、1時間だけ勉強してから好きなだけ読んでいい、というご褒美を設定することのどこに問題があるでしょうか。やっているうちに興味あることを見つけて自分から勉強するようになるかもしれません。時にうまくご褒美を使うのは問題ないはずです。そこから本人なりの目標ができたり、興味を持てたりするのを待つのも親の役割ではないでしょうか。勉強する本人が自らに課すインセンティブを好む保護者は自分の子供を優れているように感じるとか、管理が楽だとか、そういう親の体面から来るように思います。そうでなくてもそこには育児における母乳神話に類するものを感じます。自分でそういうルールを設定する方が良い、と言いたいのでしょうが、自分ルールは時に簡単に破られます。人間自分に甘いですからね。恐らくそれがわかっているから子供からゲームやTVなどを遠ざけようとする親がいるのです。どちらも良い点もあれば悪い点もあります。それに現実には両方併用することが多々あります。仕事をしていれば報酬は他者から与えられるものですし、自分にご褒美を与えることもあると思います。まあ、必ずしも低学年のうちから勉強する必要はないですし、その子を信じてきっかけだけを与えて自分から勉強するのを待つのも選択肢の一つかもしれませんが。
>omarさん
コメントありがとうございます。
方法論は何でも良いと思いますが、「勉強が楽しくて仕方がない子供」と「親からのインセンティブが無いと机に向かわない子供」が勝負した場合、残念ながら同じ土俵での戦いにはならないと考えます。
だからこそ、低学年では勉強そのものに喜びを感じるように最初からマネジメントした方が良いと考えます。何しろ低学年であり、基本的生活習慣も含めて基本だと思います。
僕自身、両親から勉強しろなんて言われたことは一度も無く、何かで釣られたことも無く、勝手にやってきました。だから、良く分からないのかもしれません。
こんにちは。私も、アメやムチなしで学習への意欲を高める方が子どもにとって良いと思います。心理学用語に外発的動機付けと内発的動機付けという言葉があります。外発的動機付けとはアメやムチに代表させるように賞罰による動機付け、内発的動機付けとは「知りたいことがあるから、楽しいから勉強する」など本人の内側から発せられる動機付けです。両者メリット、デメリットがありますが、大差で内発的動機付けの方が良いと思います。
ちなみに、子どもが大人に褒めてもらいたいとか認めてもらいたいなどの理由により勉強する事も外発的動機付けになります。
>モルッちさん
コメントありがとうございます。
サイヤ人がサイヤ人たるのは、己の飽くなき戦闘意欲に基づくものだからだと思います。
低学年なので、サイヤ人を目指しても良いと思いますw
連勝したご褒美のぬいぐるみはこの前でしたっけ?後でしたっけ?(201805現在?)
たしか、小2前半頃か何かできたらチョコをあげてたが、おねだりしだしたからやめた記事がありましたよね。
方針の転換があったのでしょうか。
>くまねこさん
そういえば、サピックスの教材で30連勝したら、ぬいぐるみを買ってよいというインセンティブやってました(汗)。
いまも形をかえて続行中。今朝、22連勝目でしたが、超注意してやるようになるのでインセンティブというよりは、気を付けるような仕組みです。