小5/雑考:中学受験に関する「記憶スキル」について
2020年7月17日(金)。
SenkiChatのクライアントさんと、記憶スキルに関するネタで盛り上がりました。クライアントさんから転載の許可を頂きましたので、ちょっと加工した上で紹介します。
尚、「暗記」と「記憶」という言葉をよく使うので、娘が使っている高校生けの『現代新国語辞典』で調べてみました。
・暗記:「なにも見ないで言えるように、おぼえること。そらで、おぼえること。」
・記憶:「経験したことや学んだことを、おぼえておくこと。また、おぼえている内容。」
と定義されています。僕なりに再定義すると、「暗記とは0→1で記憶することであり、それを1のまま維持することが記憶」のようです。よって「暗記スキル」と書くと維持定着する要素が弱くなるので、「記憶スキル」という言葉を使いたいと思います。
1. チャット内容
=quote=
戦記:「公民は、先にコアプラスを暗記すると良いと思います。」
クライアントさん:「やはりコアプラス最強なんですね。社会はまだなんとかなりそうなのですが、理科のコアプラスは解説がほとんどないので答えに至るプロセスがわからないことが多いです。お嬢さまはサピックスのテキスト以外にどのような参考資料等を利用されているのでしょうか?すべて戦記さんが解説するのですか?」
戦記:「コアプラスは丸暗記がオススメです。原理原則は後からついてきます。私は最近は解説していません。娘には自力でやるようにさせています。」
クライアントさん:「なるほど。私は暗記ものは意味がわかってないと覚えられない、漢字も意味を理解してないと覚えられないと思ってしまっていました。歴史などもいちいち流れなどを解説するので膨大な時間が掛かります。「公民」丸暗記少しトライしてみます!」
戦記:「僕は最近は解説していません。娘には自力でやるようにさせています。」
クライアントさん:「なるほど、それができることがトップレベルに君臨する理由ですね!主に四谷大塚の予習シリーズとかですか?それともWebを利用されているのでしょうか?」
戦記:「暗記ものは暗記ものです^ ^。理屈は不要ですね。今日、テクノロジーを利用して記憶領域で革命を起こそうとしているベンチャー企業のCEOに取材しますので、記事をお待ち下さい^ ^。Webは使ってません。算数の先取りは自宅では自力ですね。」
クライアントさん:「やはり自力で解決するのが一番力になりますよね。ただ、理科のコアプラスの解答などを見て、これってどうしてこうなの?となった場合、直接の説明や参考資料等なしに自力で理解する方法がイメージできないのですが。。。なにかで調べるということはないのでしょうか? 理科は暗記も重要ですがどうしてそうなのかという仕組みや理由を理解してないと解答できない問題も多いので。取材も楽しみです。」
戦記:「理科で原理原則は予習シリーズで先取りするのが理想ですが、先にコアプラス見ておくことで、サピックスとかの授業が追いついてきたときに、土地勘があることになります。ターミノロジー知ってるだけでも、圧倒的に、吸収効率が変わると思います^ ^」
クライアントさん:「なるほど~。そういうアプローチなのですね。土地勘というコトバがすごくしっくりしますね。忘れていいからとりあえず見ておくレベルなら早いし子どもも負担が少ないですよね、お嬢さんの知識の完成度の高さから初めからガッチリやってるもんだと思っていました。でも、それだと非効率なのですね。確かに毎日ポンポンできないし、時間かかるし、息切れしますよね。今更ですが、サピックスのテキストも何回も同じ単元を上塗りしていくので一回一回はそんなに詰めなくてもいいのかもしれないですね。(まあ出来ていませんが、、、)もちろん的を絞る必要はあると思います。まったく逆の発想でちょっと目からウロコです。」
戦記:「はい、薄い水彩絵の具で塗り重ねていくイメージです。油絵のように、いきなり定着しませんので。これ記事にしますか?」
クライアントさん:「はい、ぜひ別の角度からの考察も含めてまとめて頂けると嬉しいです。迷える子羊は多いと思います^^」
戦記:「はい^_^。これ、チャット内容を少し変えて掲載させて頂きますが、よろしいですかね?」
クライアントさん:「もちろんです!」
=unquote=
2. 中学受験に関する記憶スキルで重要な点
以下がポイントだと思います。尚、僕は脳科学者ではないので、あくまでも一保護者として娘をマネジメントしてきた経験から導き出した仮説です。
(1)「聞いたことがある」=「土地勘がある」を増やすこと
中学受験をするのは小学生である、ということを認識すべきだと思います。つまり、彼ら彼女らの人生経験は短いので、ほぼ全てが「初見となる語彙やターミノロジー」となります。中学生以後になると、それまでに獲得した知識を発展させて拡張することが可能となりますが、小学生はコアとなる知識を獲得するプロセスを踏むことが必要です。ですので、とにもかくにも、中学受験に必要となるターミノロジーへの接触機会を増やす必要があります。やはり、「見たことが無い単語」ばかりでは土地勘もないので、さっぱり分からないわけです。
具体的な例を出すと、「電磁石の磁界」という言葉を見た時に、「電流を電線に流すことにより発生する磁界を方位磁石の関係だな」ということが想起されれば、それは「土地勘がある」ということになります。ですので、理社において重要なのは、「なんか聞いたことがあるターミノロジーだな」という土地勘を増やすことが、サピックスの授業中の吸収効率を高める秘訣だと思います。知らない言葉を先生が話しても、耳がキャッチできないんですよ。
なので、本格的に個別分野の学習をする前の「前処理」として土地勘を養っておくことが大事だと考えます。この前処理は、完璧に記憶しておく必要はなく、とにかく幅広くなんとなく知っている、という状態を目指すべきなのだろうと思います。
(2)水彩絵の具を塗り重ねるように記憶すること
現在の中学受験の学習は、紙という媒体を使って行うのが一般的です。
この紙を使った方法は、それこそパピルスが発明されたBC3000年代の古代エジプト時代から本質的には変わっていません。つまり、5,000年間、同じ方法です。紙を使った暗記というのは制約条件が多いのですが、最大の特徴は「水彩絵の具を塗り重ねるような記憶」にならざるを得ない、ということでしょうか。定着率が悪いので、なんども行うことで、記憶として定着させる必要があります。油絵の具のように塗ったらいきなり定着するのが理想的ですが、紙だとこれは難しいです。
しかし、記憶する方法はテクノロジーにより改善可能だと僕は考えています。
■追記(2020年7月18日):
当日のアメブロ「教育・お受験」ジャンルの記事ランキングで4位の記事になりました。
★現時点の立ち位置:
・資源配分比率:サピックス70%、中学入学後30%
①公文:数学K20・国語K100で冬眠【2020年1月から】
②公文:英語HII/上位45%【2020年5月13日から】
ディスカッション
コメント一覧
土地勘を作っておくという表現素晴らしいですね。私は家内や子供に、雰囲気のくさびを脳に刻み込むという表現をして理解してもらえませんでした。
>archimedeseurekaさん
まあ、表現はともかく、同じことですよね^ ^。