認定NPO法人カタリバさんとの対談:③教育機会の格差「オンライン化により自分と世界がつながっていることを認識できる」

2022年01月(新中1)

2022年1月31日(月)。

 

2022年組の中学受験もいよいよフィナーレを迎えます。

 

しかし、現在の日本を俯瞰してみると「中学受験をしている」のは一部の恵まれたお子さんに過ぎません。満足な教育機会を得られていないお子さんが多数いらっしゃる、というのが現実です。

 

僕は娘の中学受験を通じて「教育の機会格差」の問題が深刻化していることに気が付いたので、2020年2月のコロナ危機勃発を契機にカタリバさんへの寄付を開始しました。カタリバさんのVisionに共感したからです。

 

僕がカタリバさんと出会ってから2年が経過しました。この2年間の総括として、カタリバさんと対談の機会を頂くことができました。全3回シリーズにて、「2022年組の中学受験の裏で、今の日本に起きていること」をお伝えしたいと考えます。

 

認定NPO法人カタリバさんとの対談:①教育機会の格差「コロナ発生で困窮世帯の課題がどう変化したのか」

 

認定NPO法人カタリバさんとの対談:②教育機会の格差「受動的ではなく主体的に選択して生きていくのだ」

 

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戦記:「3つ目のアジェンダですが、カタリバさんの2022年の展望についてお聞かせ下さい。本当に、1年ってあっという間ですよね。」

 

中島さん:「2021年もあっという間でした。カタリバのきっかけプログラムとしては、1年半継続することができました。これまで、お子さんは2,000名超、家庭では850世帯の支援をしてきました。今年は全国に事業を広げることができましたが、まだまだ関東地方が多いのが実情です。全国の、一人でも多くのお子さんに支援を届けたいですね。その要になるのが、子供たちを支援するメンター制度です。オンラインで活躍するメンターさんが44名、そして保護者様向けのペアレントメンターが45名います。この数を増やしたいと考えています。実は、利用を希望されるお子さんは、カタリバで対応できる定員の4-5倍います。すべてのお子さんに支援を届けられていません。課題は、メンターの人材確保とコミュニティの活性化です。支援を担える人材を、一人でも増やしたいです。」

 

戦記:「(資料を拝見して)880名の方がボランティアとして興味を示して、倍率20倍でメンターに選ばれるのですね!」

 

中島さん:「20倍の倍率です。なかなかすべての方を受け入れているわけではない。人選をしっかりしています。」

 

戦記:「オンラインだからなぜる技ですね。場所の制約がなくなりますから。」

 

中島さん:「そうですね。海外在住者の方も応募をしてくれています。これまでは関東地方の方ばかりでしたが、地方にもいろいろな方がいらっしゃいます。」

 

戦記:「支援する側もされる側も、オンラインにすることで物理的な成約が無くなりましたね。これも、DXですね!」

 

中島さん:「はい!活躍されているメンターの方も、本業をお持ちの方が大半です。移動時間を考慮すると行動できない。これがオンラインだと支援が可能になります。」

 

三箇山さん:「カタリバは、設立以来face to faceのコミュニケーションが強みでした。オンラインはチャレンジでしたが、オンラインで地理的な壁を超えることができました。支援する側も、支援される側も、地方や島などの島嶼部でも、距離を超えて、全国と世界をつながることができます。支援対象のお子さんも、情報収集の練習になりますし、敷居が低くなります。オンライン化により自分と世界がつながっていることを認識できることになります。保護者の方がハンディキャップがある場合、外にお子さんを連れ出すことができません。しかし、オンラインならば、インターネット一つで子供は出歩けます。」

 

中島さん:「困窮世帯のお子さんが、自分の地域の資源だけでは得られない学びや出会いといった制約条件が、オンラインによって解放されることになります。ハンディキャップにより外に出られないとか、精神疾患とか病気を持つ方とか、そういったご家族の助けになります。来年、2022年にはヤングケアラーを対象にプログラムを拡大予定です。最近、ヤングケアラーは問題になりつつあります。経済的に困窮している方も多い。そういった方に寄り添うプログラムを作っていきたいです。」

 

戦記:「親子という関係は変えられませんし、子供だから親の介護をせざるを得ない。介護される側である親も、精神的な負担が多いですよね。」

 

中島さん:「お子さんも、自分が置かれている状況とか、人生に課されている制約に気が付かないことが多いという現実があります。小さい時から家事をするのが当たり前、とか。そういったお子さんに寄り添い、学びの機会を届けたいです。」

 

三箇山さん:「最後に一つお話させて下さい。カタリバでは、マイプロジェクトというものを進めています。これは、東日本大震災後にカタリバで開始した放課後学校が起点になっています。大震災以降、海外から助けてもらったお子さん達が高校生になり、自分たちで地域の未来を考えたい、一緒に復興に関わりたいと考えるようになりました。自分自身が、社会の課題を解決するために、アクションを起こす。それらの活動を、カタリバではアクション甲子園として表彰してきました。毎年3月に全国大会を実施してきました。各地域で伴走する方や、学校の先生が高校生のアクションを具体的にしてきました。高校生が良き市民になるように、ステージを作って下さっています。

 

今後の世界を担うであろうエリート高校生も、被災した高校生や、ヤングケアラーの高校生と悲しみや強さをシェアして、同じ高校生だけど立場が違うことに気が付き、新たな発見や出会いを通じて本当の友達ができるといいですね。そういう世の中をつくることができるカタリバでありたいです。

 

中学受験にチャレンジするお子さんも、いろいろな境遇のお子さんと出会うことで、悲しみとか強さを学ぶことになります。混ざることを促進することで、いろいろな方が刺激を受けることになります。」

 

戦記:「そうですね。分断ではなくて、お互いに知ることで、自分は何ができて、何ができないのか。これを考えることが、社会が良くなっていくきっかけになると思います。」

 

三箇山さん:「はい。混ざって、そこで創発が起きてほしいですね。これは若年者だけではなくて、大人たちも同じです。」

 

戦記:「私もそう思います。子供時代にそういった多様性を認識する経験が無いと、寂しい人生になるのではないかな、と私は思っています。独立した個人としての成功は大事です。しかし、社会の一員であり、社会全体を良くするにはどうすべきなのか、その視点を持つことが大事だと思います。」

 

三箇山さん:「個人で経済的に社会的にどれほど成功しても、その先に行きつくゴールは、社会とかかわっていないと暇になってしまいますよね。特にエリート層は。米国のTeach for Americaのように、エリート層がスラム街の学校の教員を経験することで、社会課題の解決に目覚めていくのと似ているかもしれません。」

 

戦記:「おっしゃる通りですね。本日はどうもありがとうございました。2年前にカタリバさんとお会いできてよかったです。引き続き、よろしくお願いいたします。」

 

三箇山さん・中島さん:「こちらこそ、ありがとうございました。」

 

(終わり)

 

 

 

 

★現時点の立ち位置:
・資源配分比率:中学受験90%、中学入学後10%
①公文:数学K20・国語K100で冬眠【2020年1月から】
②公文:英語KII/上位5%【2021年11月19日から】

 

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Posted by senki