『下剋上受験』（桜井信一）からの学び（2021年11月7日版）

2021年11月7日2021年11月（小6）

2021年11月7日（日）。

『下剋上受験』（桜井信一/産経新聞出版）を、更に再読しました。

前回レビューは、2021年4月18日の「『下剋上受験』（桜井信一）のレビュー」です。あれから半年経過し、そして小6サピックスα1として11月を経験していると、改めてこの本の素晴らしさが分かりました。貴重な教訓が残されています。

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p.370

そして、私はもうひとつ重大な失敗をした。

ラストスパートに入ったとき、既にその失敗に気が付いていた。

中学受験までに残された期間を1年5か月だと考えていた。大きな間違いだった。大きすぎる間違いだった。

桜蔭中学校に最も多くの合格者を送り出しているサピックス小学部は、「学校別サピックスオープン」という模試を実施している。この年の桜蔭中学校受験者向けサピックスオープンは、1回目が9月17日、2回目が11月3日に行われた。

この2回目の11月3日までが受験勉強として与えられた期間だった。つまり、私たちには1年2か月しかなかったのだ。そこまでに仕上げないといけなかったのだ。

（中略）

佳織も2回目のサピックスオープンに参加した。しかし、まだ11月だったために、本番と同じ形式の問題を解くのはあまりにも早すぎた。この時点では算数はまだ復習態勢に入っておらず、国語に至っては記述のコツさせ掴んでいない状態だった。結局、必達点に届かなかった。ここからまだまだ伸びるだろうが、他の受験生も同様に伸びることを考えると、この差は縮まることがないような気がした。

非常に高い壁を感じたまま1月を迎え、ようやく過去問で必達点を超えても、それは他の受験生よりも2か月遅れの点数だということになる。しかも、その位置で安定するにはある程度の期間が必要だった。国語については問題文を先に読むか設問を先に読むかで二転三転し、算数については大問の3つ目をどのあたりで見切るかで大きく点数が上下した。

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我が家はリアルタイムで小6サピックスα1の立ち位置にいますので、桜井さんの状況が分かります。正直に状況を記録して下さっていることに感謝します。

桜井さんの時代と、2022年組ではまた状況が違うのではありますが、2022年組のサピックスα1の状況から見てのポイントを記録しておきます。

①筑駒・開成・渋幕・桜蔭受験組が「仕上げている」時期

「仕上げている」の定義としては、「本番でもそれなりに戦えるのではないか？」というラインと定義しておきます。桜井さんの時代は小6の11月だったのかもしれませんが、2022年組ですが恐ろしいほどに早期化しています。早い方で、1年前倒しの新小6の2月時点。上位50%位のお子さんは、小6の夏休み前までにほぼ仕上がっているように思います。つまり、本番レベルの模試を普通に受験して意味のある復習ができてしまう、ということになります。

②算数の"復習態勢"

上限が無い世界に挑んでいるお子さんは、遅い方でも小6の夏休み前までに全範囲を完了していると思います。夏休み以後は、ひたすら実戦問題を解いていますね。小6の11月時点で「算数の"復習態勢"」という言葉は、再読していてキツいなと思いました。

③「問題文を先に読むか設問を先に読むか」

滅茶苦茶です。問題文を短時間で精読して短期記憶に焼き付け、その上で設問に対して対応していく訓練をしないと、そもそも意味のある国語の学習にならないと思います。日本語でそんな学習方法をしていると、TOEFLでスコアメイクすることなんて夢のまた夢となります。小6の11月でこれはキツいです。

④「ここからまだまだ伸びるだろうが、他の受験生も同様に伸びる」

僕も夏休み前までは、このような考え方をしていました。しかし、夏以後にいろいろと気が付きました。筑駒・開成・渋幕・桜蔭受験組のうち鉄板層は、小6の夏休み前までに「合格最低点を確実に取り切る勉強」を完了させておき、小6の夏休み以後は「合格最低点にいかに点数を積み増すかの勉強」をしているように思います。両者の勉強って、やることが全く違います。「伸びる」の定義が違うと思いました。

・・・『下剋上受験』は中学受験界の金字塔となるリアルな記録なので、後進として良い学びになります。改めて、記録に感謝します。このブログも、リアルな記録として後進の方の踏み台になれば本望です。