『下剋上受験』(桜井信一)のレビュー
2021年4月18日(日)。
『下剋上受験』(桜井信一/産経新聞出版)を再読してみました。
僕が初めて読んだのは、2016年5月(=小1)のときです。当時は立ち読みでしたが、あれから5年後、きちんと購入して再読しました。テレビドラマ化されていますが、そちらは見ていません。
再読した結果、リアルタイムで小6サピックス生保護者をやっている観点で考えても、学びとなることが多く書かれていました。どうやったら失敗するか、が良く分かります。読み物としても面白いので、小6受験生保護者の方は読む価値があると思います。
以下、読んでいて参考になった箇所を列挙しようと思います。
(1)第1~7章
以下はas isの記録らしいので、僕の目から見ての突っ込みポイントを纏めておきます。反省材料を、書籍という形で残して頂けていることに感謝します。
・p.36:小5の6月の全国統一小学生テストで偏差値41。え?、すごくありませんか?これまで何もしてこなくて、統一テストで偏差値41は凄いですよ。「中卒の子から優秀な子が生まれるなんて希望は一切捨てなさいといわんばかりの結果」と記載されていますが、これは誤認識だと思います。
・p.47:「遺伝だよね?」。遺伝ではないと思います。家庭環境の差、だと思います。この「家庭環境」も「良し悪し」というものではなく、「中学受験向きな家庭環境だったかどうか」でしかありませんが。
・p.64:「マーチ大では割に合わない」。これは、そんなことは無いと思います。普通に就職するには困らないと思いますが。
・p.82:以下は辛辣に書かれていますが、ちょっと言い過ぎかなと思います。小6の通塾で大きく伸びる受験生も沢山いますから。
=quote=
中学受験塾は、つくづく(現代社会に必要な)不安商法だと思う。親の不安を煽り、親の良心を探り、親を値踏みする。その膨大なサンプルを研究し、無理すればギリギリ出せる上限の料金体系で攻めてくる。しかも、現実に栄光を手に入れた優秀な児童たちをちらつかせ、あたかもその門戸が広いと誤解させる。そして、その不安商法に騙される消費者の多くは、騙されている自分を「親馬鹿」と称し満足しているのだ。」
=unquote=
・p.96:「人生のしくみ」。2020年3月に記事を書きましたが、改めて気が付いたことがありました。「大学受験18さい」「大学卒業24さい」と書いてあるのですよね。22歳ではなくて?。ということは、最初から医学部志望だったのでしょうかね。本には職種は明示的に書かれていませんが。なぜ医学部なのだろう。
・p.162:「数字には表情がある」。計算と漢字からスタートしていますね。そこからアプローチしたのは、良い方法だと思いました。でも、暗記した方が早いと思います。
・p.180:「旅人算とは何者だ?」。公式の理解から開始していますが、足りなかったのは「抽象的思考経験」だったように思います。そのあと、すごろくに転換して解決しているので、まさにこれ。
・p.204:「夜9時に寝て朝4時に起きる朝型に学習スタイルを変更」して、失敗し、超夜型になっています。これは致命的な判断間違いかと思います。朝の時間効率は夜の2倍はありますから、親塾のメリットである、塾に拘束されず且つ通塾時間が無駄にならない、ことを捨ててしまったように思いました。朝型にすべきでしたね。
・p.208:「なぜ国語のできない子が多いのか」。これは良い指摘をしています。「実は、読書の量というよりも読書を含めたその生活の中で得る語彙力の差ではないのだろうか。文章を味わう力の正体は、単純に語彙力だ。私はそう結論付けることにした。」。しかし、語彙力が大事なのはその通りなのですが、中学受験の読解に求められるのは1回読んで頭に残す力だと思います。つまり選択肢問題は、きちんと読めていれば本文に戻ることなくサクサク解けるので。で、この状態に持ち込むには読書量を積み上げて没入する経験が不可避だと思います。『下剋上受験』においては、読書をするシーンが一切登場しないのですが、細切れ物切れになっている国語の問題をいくら解いても、国語力は伸びないと思いました。簡単な本で良いので、読書をする時間を取り入れるべきだったのかなと思います。
・p.319:「2012年7月1日(日)日能研志望校判定テスト」。なんで、日能研なのだろう?そして、「四教科の総合偏差値も40そこそこ」。その結果はさておき、「模試はしばらくやめておく。そもそも立ち位置は親の安心のため。2月1日勝負でいく。」というのは、いかがなものか。課題把握のためにテストはあると思いますけどね。
(2)第7章「最難関」の本当の意味
第7章は総括の章なのですが、僕も学びが多かったです。
・p.369:「模試などで何度も高得点を連発する子は、偶然に頼って知識を取り出しているのではない。その成長を確認する手段が模試であったり、過去問であったりするのだ」。その通りだと思います。
・p.371:「この2回目の(戦記注:学校別サピックスオープン)の11月3日までが受験勉強として与えられた期間だった」。正しいと思います。
・・・以上、再読した結果を纏めてみましたが、ここまで我が子に対して本気になれることは尊敬に値します。やり方がイマイチでも、次に活かせますからね(それは僕とて同じことなので、反省録という形で小6の6月から記録に残してあります)。
★現時点の立ち位置:
・資源配分比率:中学受験90%、中学入学後10%
①公文:数学K20・国語K100で冬眠【2020年1月から】
②公文:英語JII/上位6%【2021年4月9日から】
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