小5/読書/579:今週の読書(2020年5月24日(日))
2020年5月24日(日)。
今週の読書。
・579:『ポーツマスの旗』(吉村昭/新潮文庫/427ページ)
娘:「サピックスの歴史年表だと、ポーツマス条約は1行しかでてこないよ!たったの1行!小村寿太郎のすごい努力と交渉力により、非白人が白人に勝利するという世界史上の転換点である日露戦争をぎりぎり終わらせたのに、たったの1行!」
・・・と、歴史の舞台裏を知る面白さを味わったようです。
尚、p.155のシーンについて、
娘:「もう、、、じーんと胸が熱くなったよ。。」
良かった。僕と同じ感性を持っているらしい。
次代を担う小学生に、歴史の素材を与えてくれる吉村昭に感謝。敬意を表し、引用させて頂きます。中学受験を志す小学生が、吉村昭の本を手に取るきっかけになればと思います。
=quote=
p.155
(状況説明:小村寿太郎が率いる交渉チームは、太平洋を渡り、サンフランシスコに上陸。そして、シアトルからニューヨークへ大陸横断鉄道で移動中。ルーズベルトが示したロシアとの交渉場所は最初ニューヨークだった為。)
その日の午後、小駅に停車した時、随行の本多が窓の外を指さした。線路ぎわに五人の粗末なズボンとシャツを着た男が寄りかたまって立っていた。かれらは、日の丸の描かれている布をつけた太い枝を立てて、こちらに視線を向けている。顔は日焼けして赤黒く、体格の逞しい男たちで、足は土埃に汚れていた。
小村が立つと、二、三の者が続いた。かれは、後部扉を押して展望台に出た。
男たちが身を寄せながら近づいてくると、小村たちを見上げて何度も頭をさげた。布は古び、日の丸は少しゆがんでいた。
「お前たちは?」
小村が、声をかけた。
かれらは口ごもっていたが、旗を持った背の高い男が、
「私たちは、白人に雇われております樵夫(きこり)で、駅から八里はなれた森林で働いております。大臣様御一行が通過する話を耳にし、旗を担いで夜じゅう歩き、この駅でお待ちしていました」
と、途切れがちの声で言って頭をさげた。他の者も、それにならった。
「旗を作ったのか」
小村は、言った。
「はい、ありあわせの布に染料をつけ、立樹の枝をはらって竿にしました」
男は、枝をにぎって答えた。
小村は、かれらを見つめ、
「よく来てくれた。みなも達者で仲良く働いてくれ」
と、静かな口調で言った。
かれらは深く頭をさげてお辞儀をしたが、頭をあげたかれらの頬には一様に涙が流れていた。肩幅の広い大柄な男は、体をふるわせて嗚咽している。
機関車の鐘が鳴り、汽車が動き出した。
男たちは、小村にむかって再び姿勢をただすと頭をさげた。小村たちは、遠ざかるかれらを見つめていた。小村の眼には光るものが湧き、随行員たちはしきりに眼をしばたたいていた。
=unquote=
★現時点の立ち位置:
・資源配分比率:サピックス70%、中学入学後30%
①公文:数学K20・国語K100で冬眠【2020年1月から】
②公文:英語HII/上位45%【2020年5月13日から】
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