小6/記事レビュー:Yahoo「中学受験の入塾テストで上位クラスに入る子が、低学年のときにやっていること」
2021年10月10日(日)。
・2021年10月10日:Yahoo「中学受験の入塾テストで上位クラスに入る子が、低学年のときにやっていること」
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■低学年のうちに学力の土台をつくろう
中学受験準備の低年齢化が進んでいる。
塾によっては小学校の低学年で満席となっている校舎もあるという。プロ家庭教師集団・名門指導会代表の西村則康さんのもとには、低学年や未就学の子供を持つ保護者から「いつから塾に入れたほうがいいか」といった質問が寄せられるそうだ。実際、何年生から中学受験の勉強を始めるとスムーズだろうか。
「新小学4年生から、つまり3年生の2月から塾に入るので十分です。大手塾は低学年用のカリキュラムを作っていますが、本格的な中学受験のカリキュラムが始まるのは3年生の2月から。低学年から始めないと遅れるということはありません」
ただしその入塾前に、学力の土台となる力をつくっておくことが必要だと西村さんは言う。では低学年のうちにつくっておきたい学力の土台とはどういったものだろう。西村さんは“実体験”と“算数と国語の基礎学力”だと話す。
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タワマンで興味深い指摘をされていた西村則康氏の記事ですね。
今回は極めて正しいことを指摘しています。
①新小4の2月から入塾してカリキュラムに乗るので十分。
②しかし、その入塾前に「学力の土台となる力」を作る必要がある。
僕は上記①②のどちらも理論上は正しいのですが、無責任だなあ、と思います。現実はそんなに甘くないからです。西村氏はタワマンと同じで、どことなく浮世離れしているのが気になります。実態を把握されていらっしゃるのだろうか。理由は以下の通りです。
・2021年現在、その入塾前に求められる「学力の土台となる力」は家庭学習にて養成されることになりますが、この格差が拡大しているという現実があります。理由は、フォトン算数クラブをはじめとした算数先取りスタイルが普及してきているので、小1-2の方は家庭学習で相当にやりこんでいます。成績に困っていない層は家庭教師のニーズがありません。家庭教師に高額な授業料を支払ってまで成績をなんとかしたい層、については西村氏は詳しいのだと思いますが、首都圏の成績優秀層というチャネルへのコンタクトはお持ちなのですかね。なんとなくですが、西村氏が詳しいのは「首都圏中学受験市場の偏差値50前後の層で、アウトドア派ではなく、家庭教師代の教育投資が可能な比較的経済的に恵まれたご家庭」のように思います。この層を前提にした記事なので、「実体験が大事」とか「遊びが大事」とか、繰り返し主張されているように思います。
・塾のレベルを落としてでも良い先生がいる上位クラスで入塾すべき、と主張されていますが、そもそもそんな選択肢は首都圏中学受験市場にはないのでは?少なくとも、娘のサピックスライフを観察してきて、「他塾で修行を積んでからサピックスに入塾し、上位クラスまで上げてきた」お子さんの事例は、聞いたことがありません。塾のスイッチングコストはお子さんのメンタルにもカリキュラム的にも負荷が高いので、そんなに簡単に言えることではないと思います。
・塾の先生のレベルはクラスによって異なる、という見方も正直疑問です。なぜならば、サピックスα1の生徒の指導方法と、最下位クラスの生徒の指導方法では、やることが全く違う(であろう)からです。単純に塾のクラスのレベル=先生のレベル、という構図にはならないと思います。尚、僕自身が塾の先生で下位クラスを担当していて、「あなたは下位クラス担当だから先生のレベルとしても下位なのね」なんて言われたら腹が立ちます。皆さん、真剣に自分のクラスの生徒さんを指導されていると思います。
・・・とまあ、読むたびにいろいろと突っ込みを入れたくなるのが西村氏です。しかし、僕が見ている世界と西村氏が見ている世界が実は大分異なるのではないか?、と最近考えるようになりました。西村氏が「家庭教師事業のビジネスオーナー」であるということを考えると、
「家庭教師への投資が可能なくらいの経済力はあるが、(高年収だが激務の父)親が忙しくて子供を外に連れ出すことができず、また学習面については母親にまかせっきり。大手塾には入れさせてみたものの、成績はぱっとせず、(母)親は困っている。家庭教師を検討している。」
このセグメントが対象なわけですから、
「(いろいろな理由があるが)我々家庭教師にお任せください。」
となりますよね。
首都圏中学受験市場で、特に成績に困らずたんたんと難関校に挑戦していく層に向けては、記事の執筆をしていないと考えると、記事の意味の理解が深まります。
中学受験市場の最大の謎が、ユーザーファーストに徹したプレーヤーが少ないことです。僕としては一石を投じたいです。
★現時点の立ち位置:
・資源配分比率:中学受験90%、中学入学後10%
①公文:数学K20・国語K100で冬眠【2020年1月から】
②公文:英語KI/上位5%【2021年8月6日から】
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