小5/公文:公文で中学受験用の腹筋を割るBest Practice(2020年4月5日版)
2020年4月5日(日)。
新学期に入り、公文教室に通われる方が増えてきています。また、SenkiChatのクライアントさんからも質問が増えましたので、記事として纏めておきます。
最後に纏めたのは、小1の終わりです。まあ、その時点のやり方が"概ね"正しかったからこそ、数学K20・国語K100まで到達できたことになります。しかも、定着維持しているというのが、娘の最大の特徴だと思います。
過去の関連記事は以下の通り。
・2017年02月07日:小1/公文:公文で腹筋を割るBest Practice(2017年2月7日版)
・2017年07月17日:僕の学習:公文を始めるのに最適の時期とは?
・2017年11月03日:小2/公文:算数・数学の繰り返しの回数について
・・・今、まっさらに書き直すならば、以下となります。
娘は小4で数学・国語のダブルJフレンズ達成、小5でのサピックス銅メダルという平凡な立ち位置であり、優秀層にはほど遠い存在ではありますが、将来反省するために整理しておきます。また、最近は公文本部の方もこの反省録を読んでいるようなので、頭の固い一部公文教室への"指導"を徹底頂くためにも良いかと考えます。
腹筋!腹筋!腹筋!
■公文で中学受験用の腹筋を割るBest Practice(2020年4月5日版)
(1)最初に必要な認識
公文は単なる基礎筋トレです。つまり、いくら腹筋をしてシックスパックになっても(≒公文)、実際に街でストリートファイトをした場合(≒サピックス)、瞬殺されます。筋トレと実戦経験は別物であることは、まず最初に認識が必要なことです。
(2)最終的に目指す基準
中学受験で有利になりたい場合、以下が目安になります。
①算数・数学
数学H200(=中2の終わり)が最低目標となります。これには理由がありまして、数学H200までできれば、連立方程式を文字式としてさらさらと処理できるようになります。これはサピックス小4の消去算をさらさらと処理できることを意味し、中学受験算数を解くことに必要な「算数」の視点に加えて、「数学」の論理解析・展開能力も基礎として持つことになります。よって、平たく言うと、「授業中に先生が説明することを理解してから帰宅する」ことに貢献してくれます。
しかし、数学I以後は中学受験には直接的には貢献しないと思いますので、数学H200で良いと考えます。中学受験終了後、いきなり同級生をぶっちぎりたいのならば、数学J200までやることをお勧めします。これにより、鉄緑会中1数学の代数分野は、ほぼ終えている状態になりますので。
②国語
実は、算数・数学よりも優れた教材なのですが、その本質的価値に気が付くレベルに到達する人数が少ないので、公文生の中ではマイナーな存在です。平たく言うと、国語J200まで到達すると、古文・漢文も含めて中学入試問題に登場するほぼ全ての長文を、さほど苦も無く読めるようになります。少なくとも、実際の入試問題を見ても何の違和感も持たないと思います。
他方、国語K1以後は、趣味の世界だと思います。これは時間があれば継続しても良いのですが、小学生としての人生の経験値(特に、恋愛とか家族愛)が追い付いていないために、表面を追う展開になりかねません。その時間があれば、有名中国語を解いた方がはるかに面白いと思います。
③英語
中学受験に公文英語は関係なさそうですが、実は効いてきます。理由は簡単でして、a) 英語を通じた文法構成を獲得することで、日本語の曖昧な主語述語関係などを、英語のクリアな感覚で解析する視座を得ます。また、これが案外驚きだったのですが、b) カタカナに強くなります。有名中の国語の問題を読めばすぐに分かることなのですが、脚注がついているカタカナ語って結構あるんですよ。
尚、公文英語の場合は目指すべき進度というよりは、英検3級に相当するパス単3級の単語を暗記し終わっているかどうか、の方が中学受験に効いてきます。
(3)教室選択
自宅から無理なく通える公文教室を全て地図にプロットしましょう。その上で、全ての先生と面談しておきましょう。まずは、教室選択の選択肢が何個あるのか、これを把握すべきです。
そして、教室選択の基準は以下の通りです。
①「自宅採点」(家庭採点、ともいう)を認めてくれるかどうか。つまり、「子供が解く→即採点する→間違いを直す→それを教室に提出する」、という極めて常識的なプロセスを許してくれるかどうか。自宅採点を認めてくれない公文教室は、結構多いようです。その場合、「子供が解く→2~3日後に教室に提出する→教室で待ちながら先生が採点をする→復習を指示されるが2~3日経過しているのでまたいちから考える→教室の滞在時間が長くなる→前に進まない」ということが発生します。無駄ですよね。
②先生が一律の繰り返し回数を設定しているところは、回避しましょう。どれほどできても、3回繰り返さないと前に進まないなど、昭和時代のやり方に固執する先生もいます。上記①の自宅採点で即復習していれば、不要な繰り返しは時間の無駄となります。
③教室から「未来フォーラム生」を輩出しているかどうか。はっきりいって、公文が自学自習の教材として公文公(くもんとおる)氏が開発されている以上、高進度の公文生を教室から出したことが無い公文先生は、僕の目では「公文公氏の思想を分かってるのですか?」と聞きたいくらいです。尚、これは中学受験前提の話ですので、中学受験をせずに高校受験をするならばあまり大事な要素ではありません。
(4)開始時期
理想的には、年長の4月だと思います。年少とか年中でも良いのですが、その場合は、進度を追わないように保護者としての自制心が問われると考えます。
尚、小4を過ぎてからの公文(算数・数学、国語)は、通塾状況によりますが、時間的に厳しくなると思います。例外が英語でして、これは母語のレベルを高めた後からやらないと効率が著しく落ちるので、小4以後でもありだと思います。小5からでも遅くありません。流石に小6から開始する方は稀だと思います。
(5)ペース
時間制かノルマ制の議論になりますが、「5枚/dayのペースで楽々に終わる」のが理想的です。何が楽々かはお子さんにより異なりますが、僕のこれまでの経験からすると、一教科で30分以内はマストだと思います。これ以上の時間がかかるならば、枚数を減らして、30分以内に対応できるようにしないと、筋トレとしては負荷が高すぎます。
(6)効率的な方法
以下が大事です。
①算数
公文でやっているプリントの1学年先を、公文ドリルで毎日数問解いて慣れておきましょう。誤解を恐れずに言えば、「先取りをする公文の、更に先取りをしておく」ということです。このプロセスにより、公文プリントを復習の場にしてしまうわけです。こうすると、とても効率よく回ります。じゃあ、「公文なんて不要で、ぜんぶ公文ドリルでいいじゃん」という声が聞こえてきますが、僕の回答は「はい、そうです」です。しかし、「・・・算数F200の四則演算まではそれでできます。しかし、数学を考えると公文は必要です」という条件が付きます。
公文数学H200を目標とした場合、公文数学以外の方法でも代数なんぞは勉強できるのですが、公文が求める文字式の処理の順序、そして問題構成は実に洗練されています。最速で上達できます。なので、低学年で数学やる場合は特に、公文数学以外の選択肢をわざわざ採用する必然性はないと思います。
尚、公文算数と数学は、復習プロセスを構築することが、極めて難しいです。もともと先に進むために設計されているので、復習・定着は公文の弱点です。この弱点を補強するためには、算数F200を卒業した場合は、日能研のマスター4年に進めて四則演算の白兵戦を日々継続させることが大事です。また、数学J1以後については、それぞれの単元の代表プリントのコピーを作っておき、毎日1問ずつ解くことで維持が可能です。この時間投資を怠ると、公文数学に投資してきた時間が無駄になる可能性があるので注意が必要です。
僕が公文数学K20までの全てのプリントを吟味し、娘の復習セットは以下の通り選抜しております。
・2020年01月26日:新小5/公文:公文数学K20迄の「冬眠セット80枚」完成版(2020年1月26日版)
②国語
公文国語は唯一無比、もう神格化しても良いほどの教材です。しかし、重大な弱点があります。それは、「漢字学習が不足していると教材の良さを活かせない」ということです。
よって、漢検を利用して漢字学習を進めて置き、公文国語がその復習になるような段取りにしないといけません。
また、国語I以後は縮約の分量が多くなりますので、30分以内に収まるように5枚/dayのペースから大幅に落とすなどの工夫が必要となります。
③英語
最重要事項は、小6の中学受験真っただ中だとしても、一定量を継続する覚悟がなければ、英語は開始しなくていいかも、ということです。やめたら、それまでの投資時間が無に帰するくらいの覚悟で開始すべきです。ただ、英検3級合格(=中3レベル)は公文英語J1レベルですが、そこまで到達しておけば、小6はそれまでのコピーかなにかを1枚/dayするだけでも、ある程度は維持できると思います。なので、「5分/dayは継続投資し続ける」くらいの覚悟で十分です。
尚、公文国語と同じく公文英語も重大な弱点があります。それは、「単語暗記は別メニューとしてやっておかないと良さを引き出せない」というものです。僕はパス単を活用してこの弱点の補強しています。
(7)終了したプリント
全てを保存すると大量になり保管場所に困ります。なので、各単元が進んだら、最初の10枚を保存しておくといいです。日付入りで。こうすると、進化の度合いが分かりますので、お子さんが自己肯定感を得られます。
(8)最後に私見
最もやってはならないのは、眼前の高進度を目指してお子さんに公文を強制させることです。でも、低学年の方は陥りがちな罠です。小学校での保護者同士のマウンティングとか、ヒエラルキーとか、いろいろあるので「進度競争」になるのは仕方がない思います。とはいえ、「進度競争」のやり過ぎは、お子さんが最速且つ高確度で勉強嫌いにさせると思います。
お子さんの性格や家庭環境の差により、「やっぱり公文は合わない」ということも発生すると思います。これは「塾」でも同じことなのですが、その場合には、すっぱりと公文を辞めることをお勧めします。いやいややるような勉強は、時間とお金の無駄ですから。
公文算数がどうしても無理という場合には、タブレット教材であるRISU算数をお勧めします。公文国語がどうしても無理という場合の代替策は、僕は見つけられていません。
★現時点の立ち位置:
・資源配分比率:サピックス70%、中学入学後30%
①公文:数学K20・国語K100で冬眠【2020年1月から】
②公文:英語HI/上位45%【2020年3月10日から】
ディスカッション
コメント一覧
はじめまして。いつも拝読させていただいています。
>小4の消去算をさらさらと処理できることを意味し
今ちょうど公文数学Hを終えた小4の息子が、特に教えたわけでもないのに、塾の消去算の問題を方程式で解いていました。
途中式を見た私が「これ、方程式使っているの?」って聞いたら、「うん、消去算は方程式だよ」とさらっと言ってました。自分なりに理解しているようです。
「数学の最低目標H200まで」っていうのは、説得力ありますね。
はい、小4の11月で数学H200を終えたお子さんですと、塾の消去算は一発で理解できると思います。一言で言うと、「=」を「は」ではなくて、「イコール」として認識しているので、概念の習得が早くなります。
中学受験には公文数学H200までやっておくことをお勧めですね。しかし、数学I以後の世界は趣味に近いと思いますので、各家庭のポリシー次第かなと思います。